コンビニエンスストアに着くと、先がガラス製の鳥の形をした杖を握りしめ、シールやら缶バッチがやたらと貼っているボストンバックを側に置き、縁石に黒い服を着た女がうずくまっている。
「頭が痛い、頭が痛い。」とぶつぶつ呟いている。
薄気味悪いなと運転席に乗り、キーをさしてエンジンをかけようとしたその時、
「どこでも良いわ、とりあえず車を走らせて。」と不機嫌そうに助手席のドアを開け勝手に座りこんだ。
「どうしたんですか?近くの病院に行きましょうか?顔色悪いですよ。救急車の番号って…」
「はやく走らせてよ!」
「いや、でも顔色が…。」
「いいって言ってんじゃない!!」
イライラしているのか、ダッシュボードをバンバンと蹴り上げる。
僕は黒服の女を睨みつけると小さな声で、
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、早くこの場から離れたいの。もうすぐ行けば高速道路の入口が見えるから。」
彼女の指示通り高速道路に乗り、とりあえず車を走らせた。